外国人労働者の問題

外国人労働者を大幅に増やす改正入管難民法が成立した。介護業界などの人手不足を解消するためだ。国境を超える移住が当たり前になった現実に、日本もようやく向き合おうとしている。
しかしこの改正法において、従来の外国人実習制度で頻発してきた人権侵害の問題を防ぐには、やらなければならないことが山積みである。中でも重要なのは、転職の自由を保障することだ。技能実習の場合、勤務先の介護施設などが来日時に決まっている。実習生は原則として、別の職場に移ることができない。その結果、違法な重労働や低賃金でも、パワハラやセクハラがあっても、多くの実習生は泣き寝入りするしかなかった。

また、勤務先を指導するはずの管理団体が、介護施設などと結託して、不満を訴えた実習生を強制的に帰国させる例も後を絶たない。憲法がうたう職業選択の自由がないからこそ、実習生は構造的に弱い立場に置かれているのだ。
よって政府は、技能実習生への人権侵害に罰則を設け、受け入れ先への監督を強化した技能実習適正化法を施行しているが、改善はみられていないと言われている。管理ばかりに重点を置いていては、外国人との共生は図れない。

そこで改正法は、特定技能と言う新たな在留資格を設け、同じ業種なら転職を認めた。だが政府は当面、特定技能の半数程度は技能実習から移行することを想定している。在留期間が最長5年の実習生に特定技能の資格を与え、引き続き働いてもらうわけだ。両社の実態は、ほとんど変わらないものになる恐れがある。